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Alessandro Gagliano "Rotondo"

1710 / Naples

ossiaコレクション所蔵のこのバイオリンは、ナポリの名工Alessandro Gaglianoの最高傑作と謳われている作品で、通称「ロトンド(Rotondo)」と呼ばれている1710制作の楽器である。この楽器はこの制作家の最も有名で保存状態の良い作品であるとともに、歴史上の幾多のバイオリンの中でも最も有名な作品のトップ25に含まれることに異議を唱える専門家は少ないであろう。バイオリン史上最も美しい裏板の一つとも言われている豪快で雄大な杢の一枚板の裏と、幅の狭い杢の横板と渦巻、それからワイルドで個性的な一枚板の表板。更には荒削りな印象のf字孔やパーフリング、優美な曲線からなる輪郭、のそれぞれの一見不揃いの要素が強烈な対比をなしていながら、不思議な芸術的調和を生み出している。

このバイオリンの真骨頂はそのニスにある。黄金色の地に、信じられないほど鮮烈で柔らかく深い赤橙色のニスが乗っている。楽器の大部分に存分に残存し、しっかりと厚みのあるこのニスは正に奇跡であり、それだけでこのバイオリンとその制作家を、バイオリン史における最も偉大なレベルへと高めているとすら言える。