Joseph Henry バイオリン 楽弓

ジョセフ・アンリ （1823-1870）はフランスの弓製作家。ドミニク・ペカット のもとで学び、1851年に自身の工房を開く。製作作品数が大変少ない。アンリはピエール・シモンと1848年から共に、ペカットから継承した工房で働く。この関係は1851年に終了したと考えられているが、この数年は２人にとって非常に実り多い期間であった。

アンリはその師であるペカットに大きく影響された作風で知られ、オールドフレンチの最高峰のメーカーの一人と評価されている。

この銀・鼈甲作りの弓は、この著名な製作家の希少かつ優れた作品例。シモンとのコラボレーションの時期の作品。19世紀の最高級の弓がなぜここまで評価が高いのかを如実に示す特長を兼ね備えている。 硬過ぎず、柔らか過ぎず、この弓は演奏者のプレイにぴったりと寄り添う。大変美しい木目の厳選されたペルナンブコ材を使用。最高級しか許さぬソリストに理想的な弓である一方、F-１マシンのように使い手や組み合わせる楽器を選ぶ側面もある。なお、現代最高の鑑定家による二つの鑑定書のうち、一つはこれをピエール・シモンの作と評価している。両名工の協働時期の貴重な合作であることの裏付けと言えよう。