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James Tubbs

c. 1890 / London, England

ジェームズ・タブスは、イギリスの弓製作の歴史の中で最も優れた弓製作者の一人である。また、世界の楽弓製作者の中でも歴史上最も重要な5〜6人の一人と評価されており、「イギリスのトルテ」と呼ばれている。

1835年、11人の子供のうちの長男としてロンドンで誕生。ジェームズは1860年まで父のウィリアムの下で働く。ジェームズ・タブスがW.E. Hill で弓を作り始めたのは1860〜1870年頃である。W. E. Hill & Sonsのために彼が作った弓にはW E Hill と刻印され、時には本人の名前との二重刻印がされていることもある。

1870年代、タプスは94 ウォーダー・ストリートに自らの店を構えた。この時期に作られた初期の弓には、「J. TUBBS」という焼き印が押されている。1878年頃、彼はこの刻印を「Jas. TUBBS.」へと変更。

1885年にロンドンで開催された発明展で彼の弓が金メダルを獲得した後、タブスはエジンバラ公爵夫人御用達の弓製作者となる。
ヴァイオリンと楽弓の権威として有名なウィリアム・ヘンリーは、彼を「チャンピオン」と呼び、「トルテ、ペカット、ボアランと並ぶと言っても過言ではない」と述べた。

典型的な特徴:広々とした豊かなヘッドはフランソワ・トルテの初期の作品をモデルとしている。通常フロッグには長いフェルールと金属(銀など)が付いたワンピースの長いボタンを使用している。彼の作品の中で最も素晴らしいものには彫金細工を施した金が使用されている。

弦楽器の演奏者は概して、彼の弓を非常に好み、その高い需要のため、状態の良いものの入手は一般的に容易でない。彼の弓はコレクターにも人気で、中でも優れた作品はプレミアム価格がつくことで知られている。ピアッティやヴィルヘルミのような当時を代表する巨匠たちは、ジェームズ・タブスが作った弓に魅了され、演奏に使った。それ以降、彼の弓は世界中のソリスト、そして室内楽やオーケストラの演奏家たちによって使用され続けている。